特集 気管支喘息のガイドラインを実臨床に生かす―こんなときどうする?
総論
気管支喘息 いま むかし
足立 雄一
1
ADACHI Yuichi
1
1富山大学学術研究部医学系小児科学講座
pp.703-707
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000153
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はじめに
筆者が小児科医となった1980年代前半には,喘息の嵐が吹き荒れていた。当直すると一晩に何人もの患者が喘息発作で入院し,そのなかにはイソプロテレノール持続点滴(持続吸入ではなく)や挿管管理を要する例も少なくなく,喘息はまさに命にかかわる疾患であった。また,多くの子どもは頻回の発作で体格が小さく,学校を休みがちで学業成績や友人関係にも大きな影響を与えていた。21世紀に入ってから小児科医になった若い医師には理解しづらいことであろうが,多くの子どもたちが養護学校併設の病院に長いと数年間も入院し,学校に通いながら朝晩運動や鍛錬療法を行っていた。本稿では,そのころを振り返りつつ,2000年に初めてガイドラインが発表され,数年ごとに改訂されたことによる小児喘息診療の変遷を概説する。
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