特集 COVID-19
各論
COVID-19の臨床 小児のCoronavirus disease 2019:合併症と予後
松原 知代
1
MATSUBARA Tomoyo
1
1獨協医科大学埼玉医療センター小児科
pp.87-91
発行日 2022年1月1日
Published Date 2022/1/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000015
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はじめに
世界的なCoronavirus disease 2019(COVID-19)流行が収束していない状況だが,わが国での小児患者は少なく,多くは無症状か軽症である。そのため小児の重症化因子や予後に関するわが国のデータはほぼない。COVID-19は肺炎などの呼吸器疾患が主体だが,心筋炎など気道以外の臓器にも感染し急性期の症状を呈する。小児の重症例として川崎病様症状を呈した新しい疾患概念が米国ではmultisystem inflammatory syndrome in children(MIS-C),英国ではpediatric inflammatory multisystem syndrome(PIMS)と提唱され,この2つの診断基準は若干異なるが同じ病態を示しており,小児多系統炎症性症候群と訳されている。この疾患は新型コロナウイルス(severe acute respiratory syndrome-coronavirus2:SARS-CoV-2)感染の2~6週間後に発症する全身性炎症によって起こる疾患で,COVID-19の合併症ではなくてSARS-CoV-2ウイルス感染によってひき起こされる新しい疾患と考えられている。また,ギラン・バレー症候群(Guillain-Barré syndrome:GBS)もSARS-CoV-2ウイルス感染後に発症する例が報告されており,小児例も存在する。さらに,SARS-CoV-2ウイルス感染後に長期に症状が継続するlong COVID(新型コロナウイルス後遺症)が話題になっているのでその点についても言及する。
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