特集 COVID-19の総括
セミナー COVID-19診療への具体的アプローチUpdate
小児におけるCOVID-19
宮入 烈
1
1浜松医科大学小児科学講座
キーワード:
▶小児COVID-19は多くが軽症だが,クループ症候群,熱性けいれん・脳症,心筋炎などを呈する重症例も存在し,乳幼児や基礎疾患のある患者の疾病負荷は少なくない.
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▶小児に特有の感染後合併症として,MIS-Cが知られるが,経年的に患者は減少している.
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▶12歳未満の小児への特異的治療薬としてレムデシビルが存在するが,小児における有効性は明らかではなく,重症化リスクのある患者や重症例への投与に使用は限定される.
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▶未感染の乳幼児および基礎疾患のある小児については,現時点でもワクチン接種は有用な予防手段だと考えられる.
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▶既感染の小児については,再感染時の重症化リスクは低減しており,mRNAワクチンの副反応とのバランスを検討する必要がある.
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▶小児へのワクチン接種を幅広く推奨することの是非については,今後の疫学やワクチンのデータを踏まえ,評価を続ける必要がある.
Keyword:
▶小児COVID-19は多くが軽症だが,クループ症候群,熱性けいれん・脳症,心筋炎などを呈する重症例も存在し,乳幼児や基礎疾患のある患者の疾病負荷は少なくない.
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▶小児に特有の感染後合併症として,MIS-Cが知られるが,経年的に患者は減少している.
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▶12歳未満の小児への特異的治療薬としてレムデシビルが存在するが,小児における有効性は明らかではなく,重症化リスクのある患者や重症例への投与に使用は限定される.
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▶未感染の乳幼児および基礎疾患のある小児については,現時点でもワクチン接種は有用な予防手段だと考えられる.
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▶既感染の小児については,再感染時の重症化リスクは低減しており,mRNAワクチンの副反応とのバランスを検討する必要がある.
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▶小児へのワクチン接種を幅広く推奨することの是非については,今後の疫学やワクチンのデータを踏まえ,評価を続ける必要がある.
pp.1838-1841
発行日 2025年12月1日
Published Date 2025/12/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.12_013
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小児COVID-19の臨床像
小児におけるCOVID-19の臨床像は,発熱,咳嗽,咽頭痛などの上気道症状が主体である.高齢者のように,下気道感染症から呼吸不全に至る例,あるいは健康状態を損ねて重症化することは比較的少ない.多くの小児症例では数日~1週間程度で自然軽快し,経過観察のみで回復する.一方で,発熱を呈して,新生児発熱や熱性けいれんをきたす例や,上気道の炎症からクループ症候群に至る症例も少なくなく,オミクロン期以降,現在もこの特徴は認められる.また,重篤な基礎疾患がある場合や乳幼児では重症化のリスクは比較的高い.実際,国内外の報告からも先天性心疾患,慢性肺疾患,神経筋疾患,肥満などの基礎疾患がある小児や,生後半年~1歳前後の乳児では,COVID-19で入院や重症化に至る割合が高い傾向がある.国内でも年齢区分ごとの入院患者数の実数は高齢者が多いのは間違いないが,年齢ごとの人口で補正すると,乳幼児の疾病負荷が過少評価されていることが窺える(図1)1).

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