特集 COVID-19
総論
ウイルス学 SARS-CoV-2とヒトコロナウイルスのウイルス学的特徴
竹田 誠
1
TAKEDA Makoto
1
1国立感染症研究所
pp.12-17
発行日 2022年1月1日
Published Date 2022/1/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000002
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
これまでに知られているヒトに感染するコロナウイルスは7種類あり,すべて呼吸器症状を主体とする感染症をひき起こす。主に小児の風邪として季節性の流行を起こすヒトコロナウイルス(HCoV)が4種類(HCoV-OC43,HCoV-HKU1,HCoV-NL63,HCoV-229E)と,重篤な肺炎を伴う新興感染症〔重症急性呼吸器症候群(SARS)と中東呼吸器症候群(MERS)〕の原因となったSARSコロナウイルス(SARS-CoV)とMERSコロナウイルス(MERS-CoV),そして現在パンデミックをひき起こしているSARS-CoV-2である1)。HCoV-229EとHCoV-NL63は,アルファコロナウイルス属に,HCoV-OC43,HCoV-HKU1,SARS-CoV-2,SARS-CoV,MERS-CoVは,すべてベータコロナウイルス属に分類される。ベータコロナウイルス属は,さらに4つの亜属に分けられており,SARS-CoV-2は,SARS-CoVとともに,サルベコウイルス亜属に分類される1)。本稿では,SARS-CoV-2のウイルス学的特徴について,ヒトに感染するほかのコロナウイルスと比較しながら解説する。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.