特集 周産期診療コツと落とし穴
Ⅰ.母体・胎児編
(6)妊娠中・後期〔産科合併症〕
43.前回帝王切開・子宮手術既往例では癒着胎盤を見逃すな
桂 大輔
1
,
辻 俊一郎
1
Daisuke Katsura
1
,
Shunichiro Tsuji
1
1滋賀医科大学産科学婦人科学講座
キーワード:
癒着胎盤
,
帝王切開既往
,
子宮手術既往
,
超音波検査
Keyword:
癒着胎盤
,
帝王切開既往
,
子宮手術既往
,
超音波検査
pp.142-145
発行日 2026年10月10日
Published Date 2026/10/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002858
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はじめに
癒着胎盤(placenta accreta spectrum:PAS)は,基底脱落膜が欠損した部位から絨毛が子宮筋層へ直接侵入し,胎盤が自然に剝離できない状態である。主因は帝王切開および前置胎盤であり,前置胎盤は子宮下部の脱落膜が薄いため重要なリスク因子とされ,約5~10%に合併する1)。PASは大量出血や播種性血管内凝固症候群をきたし,子宮摘出や大量輸血を要することがあり,母体の生命を脅かす重篤な合併症である。したがって,リスク因子を有する妊婦では,妊娠中からPASの可能性を予測し,分娩前に診断を試みることが母体の予後改善に寄与するとされる2)。しかし,全例が帝王切開の既往や前置胎盤を有するわけではなく,分娩時に初めて診断される症例も存在する。そこで本稿では,帝王切開や前置胎盤に加えて子宮手術の既往を有する症例に焦点を当て,PAS診断と管理の要点を概説する。

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