特集 産後過多出血への対応の留意点
産後過多出血に併発する産科DICとその治療
産後異常出血での産科止血法
長谷川 潤一
1
,
田中 博明
1
HASEGAWA Junichi
1
,
TANAKA Hiroaki
1
1聖マリアンナ医科大学大学院医学研究科周産期発生病態解明学分野
pp.636-641
発行日 2026年6月10日
Published Date 2026/6/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002733
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はじめに
産科危機的出血による妊産婦死亡は,急変というよりは,他の疾患と比べて初発症状から心停止まである程度時間があることが多い1)。心肺虚脱型羊水塞栓症,肺血栓塞栓症,心大血管疾患,脳出血などは初発症状から30分以内の心停止も少なくないが,産科危機的出血の死亡例であっても心停止までのピークは1~3時間である1)。よって,速やかな初期対応,搬送,輸血,適切な集学的治療が行われれば救命可能な症例は少なくない。医療資源の比較的少ない一次施設での急変発生から,急変の判断,高次施設に搬送するタイミングの決定,初期対応などの一次救命処置を学ぶことに特化した日本母体救命システム(J-MELS)ベーシックコースの日本全国への普及は,産科危機的出血による妊産婦死亡の減少に大きく寄与している2)。

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