特集 FGR・SGA 児のトピックス
新生児
SGA児の新生児合併症と管理 栄養管理
東海林 宏道
1
SHOJI Hiromichi
1
1順天堂大学医学部小児科学講座
pp.202-204
発行日 2025年2月10日
Published Date 2025/2/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002030
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胎児発育不全における胎児の適応
健常な胎児にとって主要な栄養素は,グルコース,乳糖,ケトン体,アミノ酸とされる。子宮内での栄養供給が滞り,胎児発育不全(fetal growth restriction:FGR)となると,これらの栄養素を受け取る量が少ないため,除脂肪体重,体脂肪,骨塩量,グリコーゲン貯蔵量が減少し,出生後の低血糖リスクが高まる。胎児は生存の可能性を高めるために,脳の成長維持,肺の成熟促進といった特徴的な反応を呈する1)。また,FGR児が曝される相対的低酸素は,代償反応として赤血球産生を刺激し,ヘマトクリットおよび有核赤血球の出現を増加させる。赤血球の増大により,エネルギーとグルコースの消費が増加する。血流は内臓,骨格筋,肺および泌尿生殖器系といった重要とされない臓器から,脳,心臓,副腎,胎盤などのより重要な臓器に選択的に再分配される。

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