特集 周産期の画像診断 第3版
新生児編 Ⅰ.超音波診断 A.頭部
非外傷性脳室内出血(IVH)
有光 威志
1
ARIMITSU Takeshi
1
1慶應義塾大学医学部小児科
キーワード:
超音波
,
新生児
,
正期産児
,
早産児
,
脳室内出血
Keyword:
超音波
,
新生児
,
正期産児
,
早産児
,
脳室内出血
pp.293-297
発行日 2024年12月23日
Published Date 2024/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001863
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はじめに
脳エコーは非侵襲的で簡単に実施でき,特に状態が悪く移動が難しい新生児に適している。しかし,画像診断技術が進歩するなかで,感度や特異度が低いという理由から脳エコーの重要性が問われることがある。一方で,技術を習熟すれば,新生児の脳エコーもMRIと同程度に正確に異常を検出できるという報告もある。これは,新生児の脳エコーを正確に行うためには高い技術力が求められることを示している。技術を習得し診断の精度が向上することにより,脳エコーの簡便さという利点を最大限に活用することが可能となり,さらに不必要なCTやMRIを避けることが可能である。脳エコーにおいてはトランスデューサの周波数によって明瞭に描出できる範囲が異なる。そのため,脳室内出血(intraventri cular hemorrhage:IVH)の評価においては,出血病変の評価が困難なことがある。脳エコーは脳表層の病変や囊胞性疾患以外の診断には限界がある。超音波で診断がつかない場合や,IVHの客観的な評価が必要な場合,特に治療方針に影響を与える場合には,CTやMRIも有用であり脳エコーの結果に過度に依存して適切な検査の実施を避けることがないよう注意が必要である。
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