特集 知って得する胎児・新生児の心疾患2024
応用編
新生児にカテーテル治療が可能な心疾患
藤井 隆成
1
FUJII Takanari
1
1昭和大学小児循環器・成人先天性心疾患センター
pp.1009-1014
発行日 2024年7月10日
Published Date 2024/7/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001650
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はじめに
先天性心疾患は,心内構造物や大血管における「狭窄」「短絡」といった解剖学的な異常により生じることが多く,これらを修復することにより血行動態の正常化が得られる。一方,動脈管や心房間交通が生存に必須となる新生児期発症の重症先天性心疾患においては,段階的治療の初回治療介入(姑息術)として動脈管や心房間の維持を目的とした治療が行われる。先天性心疾患の侵襲的な治療では,いうまでもなく外科的修復術が主役であるが,カテーテル治療は外科的手術を回避し低侵襲に治療が行える点で,先天性心疾患診療における重要な位置を占めており,一部の治療においては第一選択となっている。2019年の日本先天性心疾患インターベンション学会レジストリー(JCIC-Registry)の年次報告によると,わが国で小児・先天性心疾患患者に対して施行されたカテーテル治療は年間4,805例であり,うち356例(7.4%)が新生児症例であった1)。内訳は,バルーン心房中隔裂開術,バルーン肺動脈弁・大動脈弁形成術,バルーン血管形成術,ステント留置術,塞栓術などであり,近年では,前述のような既存の治療法に加え,さまざまな治療器具や治療法が導入され,より一層多様な治療が行われつつあり,安全性も向上している。新生児に対するカテーテル治療のうち,現在わが国で標準的に行われている治療,今後導入が期待されている治療に関して概説する。また,近年導入された未熟児動脈管開存に対するカテーテル治療も紹介する。
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