増刊号 周産期診療のための病態生理
[新生児編]
栄養・消化器
いつまで強化母乳栄養を続けるべきか
水越 曜子
1
,
村瀬 正彦
1
MIZUKOSHI Yoko
1
,
MURASE Masahiko
1
1昭和大学横浜市北部病院こどもセンター
キーワード:
強化母乳栄養
,
母乳強化剤
,
HMS-1
,
HMS-2
,
骨塩量
Keyword:
強化母乳栄養
,
母乳強化剤
,
HMS-1
,
HMS-2
,
骨塩量
pp.532-535
発行日 2023年12月28日
Published Date 2023/12/28
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001361
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母乳強化の目的
母乳栄養は,蛋白質や脂質の消化吸収に優れ,免疫物質を含有しているといった利点がある1)。さらに,母児愛着形成や長期の神経発達の改善にも関与する。また,早産児では母乳栄養は人工乳と比較して,遅発性敗血症,壊死性腸炎,未熟児網膜症といった合併症のリスクを低減させる1,2)。そのため,母乳栄養は正期産児のみならず,早産児に対しても理想的な栄養方法である。しかし,早産児に対して母乳単独の栄養では,蛋白質やカルシウムやリンといった骨形成に関与する栄養素が不足しやすい。早産児の経腸栄養での必要蛋白質は,修正36週までは4g/kg/日,その後徐々に低下し,修正40~52週は3g/kg/日の摂取が必要である3)。また,在胎32週未満の早産児では,子宮内でのカルシウム,リンの蓄積量がピークとなる前に娩出される。そのため,早産児は未熟児代謝性骨疾患(metabolic bone disease:MBD)のリスクが高い。しかし母乳単独では,蛋白質やカルシウム,リンの必要量には到達しない。
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