増刊号 周産期診療のための病態生理
[新生児編]
水電解質・腎
非乏尿性高カリウム血症はどのような機序で起こるのか
権田 裕亮
1
,
藤永 周一郎
1
GONDA Yusuke
1
,
FUJINAGA Shuichiro
1
1埼玉県立小児医療センター腎臓科
キーワード:
非乏尿性高カリウム血症
,
サルブタモール吸入
,
グルコース・インスリン療法
Keyword:
非乏尿性高カリウム血症
,
サルブタモール吸入
,
グルコース・インスリン療法
pp.490-493
発行日 2023年12月28日
Published Date 2023/12/28
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001350
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
非乏尿性高カリウム血症の基本病因,発生機序,解剖学的背景
非乏尿性高カリウム(K)血症(non-oliguric hyperkalemia:NOHK)は,生後48時間以内に腎不全のない低出生体重児(出生体重<1,500g)か早産児(在胎週数≦32)に血清K値>6.5mEq/Lの高K血症を認めるものと定義されている1)。生体内のKは細胞内に98%が存在し,細胞外Kの濃度は細胞内に比べて30倍近く低い。この細胞内外の濃度勾配を維持するために,細胞膜のNa+/K+-ATPaseがエネルギーを消費し,Kを絶えず細胞内へ輸送している。高K血症を認める超低出生体重児(extremely low birth weight:ELBW)では,Na+/K+-ATPase活性が低いことが知られており,Na+/K+-ATPase活性低下による細胞内から細胞外へのKシフトがNOHKの主な病態とされる2)。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.