増刊号 周産期診療のための病態生理
[新生児編]
心血管系
早産児の心不全の背景因子は何か
日根 幸太郎
1
,
増本 健一
1
HINE Kotaro
1
,
MASUMOTO Kenichi
1
1東邦大学医療センター大森病院新生児科
キーワード:
早産児
,
心不全
,
胎児循環
,
動脈管開存症
,
循環不全
Keyword:
早産児
,
心不全
,
胎児循環
,
動脈管開存症
,
循環不全
pp.375-377
発行日 2023年12月28日
Published Date 2023/12/28
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001320
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早産児心不全の基本病態
本稿では先天性心疾患の合併を認めない,正常心臓構造の早産児における心不全について述べる。わが国の急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)によると,心不全とは「心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果,呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し,それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群」と定義されており,新生児・乳幼児ではこれらの臨床所見に哺乳不良や体重増加不良を加えることとなる。心拍出量は心拍数と1回心拍出量の積であるが,1回心拍出量は心筋の収縮能と拡張能,前負荷,後負荷で規定される。心不全はこれらの因子に異常をきたし代償機構が破綻した状態といえるが,どれか単独の因子の異常というよりは,複雑に絡み合い連動して心不全が発症すると考えられる1)。
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