特集 胎児・新生児の消化管機能と消化管疾患
総論
症候からの鑑別診断 嘔吐
古川 亮
1
,
福原 里恵
1
FURUKAWA Ryo
1
,
FUKUHARA Rie
1
1県立広島病院新生児科
pp.1582-1585
発行日 2023年11月10日
Published Date 2023/11/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001151
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はじめに
新生児の嘔吐は日々の診察でよくみられる症状の一つであり,健常な児でも1日に数回の少量の嘔吐をすることは珍しくない。新生児は哺乳中に多量の空気も一緒に飲み込むため,排気をうまく行う必要がある。そのため解剖学的に新生児の胃は成人と比較して縦型をしており,噴門部の括約筋も弱く排気をしやすい構造となっているが,同時に溢乳も起こりやすい。このような特徴から新生児では,ある程度の嘔吐は正常な範疇と考えられている1)。しかし哺乳開始前から嘔吐を認める,嘔吐以外の症状を認める,吐物の性状が血性や胆汁性である,全身状態の悪化を認めるような場合は,いわゆる病的嘔吐の可能性が高い。
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