特集 周産期医療のヒヤリ・ハット―医療事故・医療紛争を防ぐために 新生児編
各論
医療技術に関するもの 検体間違い
井上 普介
1
,
澤野 徹
1
,
落合 正行
1,2
INOUE Hirosuke
1
,
SAWANO Toru
1
,
OCHIAI Masayuki
1,2
1九州大学病院総合周産期母子医療センター新生児内科部門
2九州大学環境発達医学研究センター
pp.1106-1108
発行日 2023年7月10日
Published Date 2023/7/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001017
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
新生児医療は,他診療科にみられない特徴を有する分野である。急性期集中治療と慢性期医療が混在している。患者の体重が500gから5kgまでおよそ10倍の差がある。電子カルテや医療薬・医療機器の規格は成人を前提にされており,新生児に特化した規格に変更せざるをえない。新生児集中治療室(NICU)の多くでは養育者の付き添いはなく,幼少な患者は自ら名乗ることができない。とりわけ多胎児では名前,顔貌,および体格が似通う。医療スタッフの入れ替わりが多く,かつ慢性的なスタッフ不足である。これらはNICUに特有のリスク環境を生じさせ,さまざまなヒヤリ・ハットをひき起こす1~3)。NICUに勤務する医師,とりわけ管理者は,これらの事情を十分認識しておくことが医療安全管理の基本となる4)。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.