特集 成育基本法と医療的ケア児等支援法に基づく育児支援
医療的ケア児等支援法に則った医療的ケア児と家族の支援
NICU/GCUからの医療的ケア児の在宅移行支援
側島 久典
1
SOBAJIMA Hisanori
1
1埼玉医科大学総合医療センター小児科
pp.1553-1558
発行日 2022年11月10日
Published Date 2022/11/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000393
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NICUでの在宅移行支援の必要性と準備に向けて
小児在宅医療を受ける子どもの多くが周産期からの異常によるものとされる。NICU・GCUでのケアから在宅医療にいたる過程を考えるに,医療的ケア児が社会で幸福な生活を送れるように,NICU入院後早期からの取り組みが見直されるようになってきた。周産期医療のゴールは,小さな命を救いNICU・GCUから無事家族のもとに退院させるという短期の目標のみならず,「子どもたちが家族のもとで幸福な家庭生活を送ること」にある。そのためには子どもたちが家族と円滑に日常生活を送るための支援準備が重要となる。出生時はきわめて重症でも,呼吸障害を乗り切り,哺乳行動,運動機能も順調に成長し退院していく子どもも多くなったものの,日常生活への適応が難しく,退院への見通しが立たないために長期入院となる児も増えている。呼吸器からの離脱が難しい超低出生体重児,重症低酸素性虚血性脳症(HIE)などの児がNICU入院に占める頻度は高い。NICU重症ベッド稼働の必要性による影響も考えられるうえ,呼吸器を装着しての退院が増える現状がある(図1)1~3)。自宅では,人工呼吸器から離脱ができない,哺乳が確立できないための経管栄養,胃瘻造設,気管切開児では定時の吸痰など,家族による数多くの医療的ケアが必要となる。このような状況に適切に対応できるきめ細かい在宅医療支援が望まれている。
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