特集 見て,聞いて,触って,身体所見から考える妊産褥婦の異常とその対応
上腹部が痛い
佐世 正勝
1
SASE Masakatsu
1
1山口県立総合医療センター総合周産期母子医療センター
pp.1093-1097
発行日 2022年8月10日
Published Date 2022/8/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000271
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はじめに
妊婦が上腹部痛を訴えることは,下腹部痛に比べ多くはない。したがって上腹部痛には妊娠とは異なる原因により起こっているものが多く含まれている。しかし,なかには緊急に対応しなければ母児の生命にかかわるものがあり,他科紹介も含めた適切な対応が求められる。救急外来では腹痛を主訴とする受診者が5%に達する。腹痛は初期対応の遅れによる急速な症状悪化を防ぐために,迅速かつ的確な病態の解釈と緊急の処置を要する疾患群として対応しなくてはならない1)。腹痛患者を診察するにあたっては,腹痛からいかに多くの疾患を思い浮かべることができるかが重要となる。そのうえで,痛みの情報をもとにその疾患群を原因別に分類し診断を進めていくことになる。産婦人科に関連した腹痛が否定的であれば,他科に積極的に助言を求めることが望ましい。
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