特集 生殖補助医療の進歩と周産期医療
生殖補助医療(ART)の立場から
不育症女性においてのART
森 祐介
1
,
岸 裕司
1
MORI Yusuke
1
,
KISHI Hiroshi
1
1東京慈恵会医科大学産婦人科学講座
pp.315-318
発行日 2022年3月10日
Published Date 2022/3/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000075
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はじめに
不育症とは,日本産科婦人科学会の産科婦人科用語集において,「生殖年齢の男女が妊娠を希望し,妊娠は成立するが流産や死産を繰り返して生児が得られない状態」とされている1)。また,厚生労働省不育症研究班の提言(http://fuiku.jp/common/teigen001.pdf)では,「2回以上の流・死産の既往がある場合」としており,すでに生児がいる場合でも,2回以上の流・死産の既往があれば不育症に含めるものとされている。いずれの場合においても,反復流産・習慣流産を含みつつも,その概念には死産も含まれており,また流産において必ずしも連続していなくても不育症診療の対象として考えられている。わが国における産科婦人科診療ガイドラインでの取り扱いは,「不育症患者」に対してではなく,「反復・習慣流産患者」に対するものとなっており,留意する必要がある2)。
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