連載 わたしの研究歴
考え,知る楽しみ-“耳”をライフワークに選んで-
中川 尚志
1
Takashi Nakagawa
1
1九州大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科学分野
キーワード:
蝸牛細胞生理
,
外有毛細胞
,
側頭骨癌
Keyword:
蝸牛細胞生理
,
外有毛細胞
,
側頭骨癌
pp.1281-1286
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001816
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はじめに
入局のときに10年は研究をして,ライフワークをもつことと,将来に残る論文をひとつ書きたいと目標をたてた。教室主宰者である上村卓也教授に大学院進学の希望を伝え,承諾していただいた。九州大学は当時,臨床の大学院でも基礎の教室で最低2年間は研究をする決まりだった。基礎の課目で神経生理がもっとも興味深く,2冊の英語の副読本が面白かった。ひとつは神経細胞膜のイオンコンダクタンスの変化から神経活動電位,神経伝達物質の働きが解説された「From Neuron To Brain」,もうひとつはノーベル医学生理学賞を受賞したJohn Ecclesの「Brain」でGABAを中心とした抑制性シナプスの働きから脳全体の機能を説明していた。そこで私は神経生理を研究できる第一生理学教室を選んだ。

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