特集 花粉症の疑問に答える
【治療】
鼻噴霧用ステロイドによって全身的な副作用は生じるか?
西嶌 大宣
1
Hironobu Nishijima
1
1東京大学医学部耳鼻咽喉科頭頸部外科
キーワード:
花粉症
,
鼻噴霧用ステロイド薬
,
アレルギー性鼻炎
,
副作用
Keyword:
花粉症
,
鼻噴霧用ステロイド薬
,
アレルギー性鼻炎
,
副作用
pp.1163-1165
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001786
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はじめに
アレルギー性鼻炎,特にスギ花粉症は,高い有病率を示し,患者の生活の質を著しく低下させるとともに,労働生産性の低下などの社会的損失にも重大な影響を及ぼしている1)。鼻噴霧用ステロイド薬は,その優れた局所抗炎症作用により,アレルギー性鼻炎治療における第一選択薬として広く認知され,頻用されている2~4)。しかしながら,ステロイド薬に内在する全身への副作用への懸念は依然として存在し,患者および医療従事者間で議論の対象となることがある。
本稿では,「鼻噴霧用ステロイド薬によって全身的な副作用を生じるか?」という臨床上の疑問に対し,「推奨用量での鼻噴霧用ステロイド薬の投与は,全身性副作用のリスクが極めて低い」という見解を示す。以下に,鼻噴霧用ステロイド薬の使用に伴う全身性副作用の可能性について詳述する。

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