特集 花粉症の疑問に答える
【発症のメカニズム】
上皮バリア機能はアレルギー性鼻炎とどう関連するか?
亀倉 隆太
1
,
高野 賢一
1
Ryuta Kamekura
1
,
Kenichi Takano
1
1札幌医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
キーワード:
アレルギー性鼻炎
,
タイト結合
,
上皮バリア機能
Keyword:
アレルギー性鼻炎
,
タイト結合
,
上皮バリア機能
pp.1077-1080
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001763
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はじめに
アレルギー性鼻炎は日本国民の約半数が罹患している国民病であり,近年の地球温暖化によってその罹患率や重症化率が高まっている。アレルギー性鼻炎の克服を目指し,世界中で病態解明が進められ,新しい知見が次々と報告されている。
鼻粘膜上皮は常に外来病原体に曝露され,生体防御の最前線であることから,鼻粘膜上皮細胞は外界と生体内を隔てる物理的バリアとしての役割に加え,サイトカインを産生し,アレルギー性鼻炎の発症に関わる免疫細胞としての役割を持っており,治療標的として注目されている。正常鼻粘膜上皮ではバリア機能が発達しており,外来抗原は容易に上皮内に侵入することができない。上皮細胞のバリア機能には,細胞間接着装置であるタイト結合が重要である。しかしながら,抗原刺激を繰り返し受けた炎症状態の鼻粘膜上皮ではバリアが脆弱になっていることが知られており,疾患の重症化,難治化に関係している。

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