特集 てこずった症例・難治症例にどう対応するか
口腔咽頭領域
血管塞栓術とNBCAの腫瘍内注入を行い輸血なく経鼻内視鏡下に摘出し得た若年性血管線維腫症例
宮本 雄介
1
,
麦田 史仁
2
,
有村 公一
2
,
小宗 徳孝
1
,
空閑 太亮
2
,
村上 大輔
1
Yusuke Miyamoto
1
,
Fumihito Mugita
2
,
Koichi Arimura
2
,
Noritaka Komune
1
,
Daisuke Kuga
2
,
Daisuke Murakami
1
1九州大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科
2九州大学大学院医学研究院脳神経外科
キーワード:
若年性血管線維腫
,
経鼻内視鏡手術
,
血管塞栓術
,
NBCA
,
腫瘍内注入
Keyword:
若年性血管線維腫
,
経鼻内視鏡手術
,
血管塞栓術
,
NBCA
,
腫瘍内注入
pp.1076-1081
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001254
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はじめに
若年性血管線維腫(juvenile nasopharyngeal angiofibroma:JNA)は,良性の間葉系腫瘍で全頭頸部腫瘍における発生頻度は0.05%とされ,非常に稀な腫瘍で思春期の男性に好発する。腫瘍は,非常に易出血性であり,そのため生検は禁忌で,診断は,画像検査で行う。腫瘍は,上咽頭から発生し,翼口蓋から側頭下の起因動脈としては上顎動脈とその枝である蝶口蓋動脈が最も高頻度であり他には上行咽頭動脈や場合によっては内頸動脈からの血液供給,場合によっては対側からの血流供給があることもある。広範囲に進展した腫瘍症例では,術中の出血量も多く,術野の確保が難しく,周囲組織から腫瘍を剝離する際に難渋したり,また多量の出血に対して輸血を必要とすることも多い。そのため腫瘍摘出術の前に腫瘍への血流を可能な限り減らしておくことが肝心である。
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