特集 てこずった症例・難治症例にどう対応するか
鼻領域
複数回の手術で改善せず下鼻道真皮脂肪移植術で改善したempty nose syndromeの1例
細川 悠
1
Yu Hosokawa
1
1埼玉医科大学病院耳鼻咽喉科
キーワード:
empty nose syndrome
,
下鼻道真皮脂肪移植術
Keyword:
empty nose syndrome
,
下鼻道真皮脂肪移植術
pp.1047-1050
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001246
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はじめに
empty nose syndrome(ENS)は下鼻甲介手術をはじめとした鼻科手術後の合併症である。医原性萎縮性鼻炎とも称されるが,主に下鼻甲介の過剰切除により生じる1)。鼻腔の開存性は三叉神経冷感受容器であるtransient receptor potential melastatin 8(TRPM8)の活性化に依存する。その刺激には高速な鼻気流による粘膜上水分の蒸発が重要となる2)。過拡大した鼻腔は吸気流速が遅くなり,総鼻道吸気量が減少する。また粘膜表面積も低下し,鼻腔内温度が上昇,湿度が低下し,さまざまな症状をきたすとされる3)。しかし,その病態生理は議論の余地があり,原因は多岐に渡る可能性もある4)。
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