特集 耳科診療の論点―異なる立場の対話とディベート―
さまざまな手術法の中から
耳科手術の3鏡について―顕微鏡のメリット,デメリット―
藤田 岳
1
Takeshi Fujita
1
1神戸大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科頭頸部外科
キーワード:
手術用顕微鏡
,
耳科手術
,
顕微鏡手術
Keyword:
手術用顕微鏡
,
耳科手術
,
顕微鏡手術
pp.308-310
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001002
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はじめに
19世紀後半から20世紀初頭にかけて,急性乳突洞炎から頭蓋内合併症で死亡してしまうことを防ぐため,乳突部の急性炎症を外科的に取り除く乳突部単削開術や中耳根治術が開発された。これらは肉眼で行われていた1)。スウェーデンの耳科医,Carl Olof Nylenが耳の手術で初めて顕微鏡を仕様したのは1921年のことであった。この時に用いられたのは単眼式顕微鏡であったが,翌1922年にはドイツのZEISS社により双眼式顕微鏡が開発され,Nylenの同僚であったGunnar Holmgrenが耳科手術に使用した。Nylenもその新しい顕微鏡の有用性を認め,以後急速に顕微鏡技術の発展と手術への応用が進んでいった2)。
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