特集 耳科診療の論点―異なる立場の対話とディベート―
さまざまな治療法の中から
聴神経腫瘍の治療について―外科的治療の立場から―
大石 直樹
1
Naoki Oishi
1
1慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室
キーワード:
聴神経腫瘍
,
外科的治療
Keyword:
聴神経腫瘍
,
外科的治療
pp.283-285
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000995
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聴神経腫瘍とは
聴神経腫瘍は主に前庭神経に生じる神経鞘腫であり,小脳橋角部腫瘍のおよそ80%を占める。最新の疫学データでは,一生涯に500人に1人を超える割合で発症するとされ1),従来考えられていたよりも高頻度で生じる疾患であることがわかってきた。前庭神経に生じる腫瘍であるものの,最も頻度の多い症状が難聴である。聴神経腫瘍患者のうち約6割で進行性難聴を生じ,1~2割程度の割合で急性感音難聴を呈する。突発性難聴の診断で治療を受けた症例のうち,聴神経腫瘍の診断に至る例はおよそ3%程度とされ2),突発性難聴の重要な鑑別診断の1つである。
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