前庭神経炎

はじめに

　前庭神経炎は，難聴や耳鳴，耳閉感などの聴覚症状を伴わない，突発性の回転性めまいをきたす疾患である。本邦での有病率は10万人中3.5人と報告されており，40～50歳台での発症が多い^1）。本疾患によるめまいは通常1回のみであり，再発はまれである。聴覚症状を伴わない点で，メニエール病の鑑別は容易であるが，激しい回転性めまいで救急外来を受診することが多く，小脳梗塞をはじめとする脳血管障害との鑑別が重要になる。