特集 薬にまつわる疑問に答える
薬にまつわる疑問
11.妊婦,授乳婦への処方
妊娠・授乳中の患者さんにはとりあえず外用薬を処方する対応をとることがありますが,外用薬は安全性が高いと考えてよいですか?
酒井 隆全
1
,
大津 史子
1
,
後藤 伸之
2
Takamasa Sakai
1
,
Fumiko Ohtsu
1
,
Nobuyuki Goto
2
1名城大学薬学部医薬品情報学研究室
2福井大学医学部附属病院薬剤部
キーワード:
妊婦
,
授乳婦
,
外用薬
Keyword:
妊婦
,
授乳婦
,
外用薬
pp.1136-1139
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000289
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はじめに
妊娠・授乳中の薬物療法において,一般的に胎盤を通過した薬物の胎児への移行,母乳を介した薬物の乳児への移行が多いほど児のリスクが高いと考えられる。通常,投与経路別に,
静脈内投与 > 経口投与 > 局所投与
の順に母親の薬物の体内吸収も少なく,血中濃度も低い場合が多く,薬物の胎盤・母乳への移行量も少ないため理論的には児への曝露が少なくなる。この考え方より外用薬の使用は,安全性の観点から合理的な選択といえるだろう。ただし,外用薬の中でも全身作用を期待して使用される医薬品などには注意が必要で,全身循環への移行の程度などの情報より判断することになる。
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