特集 実例から学ぶ医学統計
実例から学ぶ医学統計
頭頸部癌の傾向スコア解析
佐野 大佑
1
,
折舘 伸彦
1
Daisuke Sano
1
,
Nobuhiko Oridate
1
1横浜市立大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科
キーワード:
頭頸部癌
,
臨床疑問
,
観察研究
,
ランダム化比較試験
,
傾向スコア解析
Keyword:
頭頸部癌
,
臨床疑問
,
観察研究
,
ランダム化比較試験
,
傾向スコア解析
pp.677-680
発行日 2022年6月1日
Published Date 2022/6/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000170
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はじめに
臨床研究を行う際は,日々の診療で生じる臨床疑問を研究仮説に落とし込み,その研究仮説の検証に適した研究デザインを選択する。臨床研究のゴールド・スタンダードは内的妥当性が高い,すなわち曝露と結果の因果関係を正確に評価することが可能なランダム化比較試験(randomized controlled trial,以下RCT)である。しかし医療分野では倫理的,費用的,時間的な面でRCTの実施が困難であることが多く,またRCTの結果はある意味実験的で特殊な環境下におけるものであり,実臨床では同様の関係を得られない可能性も存在する。そのため現実的には実臨床集団を対象とする観察研究が行われる機会が多くなるかと思われるが,観察研究にはデータソースの制限やデザインなどにより生じるバイアスという問題点があるため,何らかの統計学的な手法や工夫でそれらをカバーする必要がある。
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