特集 実例から学ぶ医学統計
実例から学ぶ医学統計
深頸部膿瘍の予後と治療法の検討―医療大規模データの観点から
日高 浩史
1
,
阪上 智史
1
,
八木 正夫
1
,
岩井 大
1
Hiroshi Hidaka
1
,
Tomofumi Sakagami
1
,
Masao Yagi
1
,
Hiroshi Iwai
1
1関西医科大学耳鼻咽喉科頭頸部外科
キーワード:
深頸部膿瘍
,
降下性縦隔炎
,
医療大規模データ
Keyword:
深頸部膿瘍
,
降下性縦隔炎
,
医療大規模データ
pp.654-660
発行日 2022年6月1日
Published Date 2022/6/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000165
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はじめに
深頸部感染症(deep neck infection)は,耳鼻咽喉科領域の感染症の中でも重篤な疾患である。頭頸部領域の疎性結合組織で形成される間隙内に生じた感染症の総称で,蜂窩織炎や膿瘍を含む。このうち,蜂窩織炎とは,疎性結合組織における急性化膿性進行性炎症の総称である1,2)。膿瘍になるか蜂窩織炎になるかは,感染局所の解剖学的特徴,起炎菌の性質,生体防御機構の強弱などによって異なる1,2)。原因菌は,Streptococcus属,嫌気性菌であるPrevottella属,Peptostreptococcus属,Bacteroides属などが代表として挙げられる。また,好気性菌と嫌気性菌の混合感染も多い2)。
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