連載 古典あれこれ
生体の声帯長を測る―藤田馨一の工夫と努力―
廣瀬 肇
1
Hajime Hirose
1
1東京大学名誉教授
キーワード:
颯田琴次
,
藤田馨一
,
測定システム
,
ステレオ側視鏡
,
泉橋慈善病院
,
三井記念病院
Keyword:
颯田琴次
,
藤田馨一
,
測定システム
,
ステレオ側視鏡
,
泉橋慈善病院
,
三井記念病院
pp.334-338
発行日 2022年3月1日
Published Date 2022/3/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000083
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東京大学医学部耳鼻咽喉科学教室の第4代教授であった颯田琴次(以下,本稿ではすべて敬称略)は,そのユニークな学風と,日本音響学会の創立に見られるような耳鼻咽喉科の枠を超えた先見的な活動で歴史に残る斯学の先達であった1~4)。しかし颯田の最大の業績は,多くの優秀な弟子の研究指導に成果を挙げたことと言っても過言でなく,その高弟には白岩俊雄,切替一郎,堀口申作らの,後年に日本耳鼻咽喉科学会のリーダーとなった諸氏がある。これらのうち,切替・堀口論文については,本シリーズですでに紹介している5)。これら諸氏に引き続いて,さらに多くの教室員が颯田の研究・論文指導を受けることとなった。その中でとくに目を引くのは,第二次世界大戦の最中に発表された藤田馨一の声帯長測定に関する研究である。図1に藤田論文の冒頭部分を示す6)。
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