連載 腎臓学100年史
第10回 腎性貧血とエリスロポエチン
秋澤 忠男
1,2
,
越川 真男
2
AKIZAWA Tadao
1,2
,
KOSHIKAWA Masao
2
1昭和医科大学医学部内科学講座腎臓内科学部門
2越川記念よこはま腎クリニック
pp.134-136
発行日 2026年1月25日
Published Date 2026/1/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002306
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腎性貧血
腎性貧血は腎不全患者の代表的な合併症であり,腎機能の悪化とともに進行し,透析期では,かつては日常生活を送るうえで定期的な輸血が必要とされる患者も稀ではなかった。1972年の人工透析研究会会誌によると,1971年末時点の1,661名の透析患者の平均ヘマトクリット(Ht)は,直前3カ月間に平均1.54単位/月の輸血を受けていたにもかかわらず20.98%であったという。当時は貧血是正のために,現在では禁止されている空気返血を含む体外循環路の残血削減,蛋白質摂取や透析器の性能から限界はあったが,透析量の増加,採血時にヘパリン採血して血球成分は体外循環路に戻す分離採血,ヒスチジン療法などが試みられたものの,最終的な治療手段は輸血で,輸血に起因する血清肝炎が大きな脅威となっていた。1983年に,蛋白同化ホルモン薬メピチオスタンが透析患者の腎性貧血治療薬としてはじめて認可されたにもかかわらず,日本透析医学会の統計調査資料によると,1988年末時点の73,600名の透析患者の平均Htは24.9%にすぎなかった。

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