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はじめに
従来,ABO血液型不適合腎移植は,レシピエントに存在する「自然抗体」である抗A抗B抗体がドナー腎血管内皮細胞表面に発現する血液型抗原と抗原抗体反応を起こし,激烈な抗体関連型拒絶反応(antibody-mediated rejection:ABMR)を惹起し移植腎喪失に陥るため,「免疫学的禁忌」であった。1985年Alexandreら1)は,術前血漿交換療法による抗体除去と脾臓摘出を組み合わせることにより,「計画的」にABO血液型不適合腎移植を成功に導いた。わが国においてもTakahashiら2)が最初の成功例を報告すると,全国の移植施設において実施され,献腎移植が少ないわが国における生体腎移植の貴重な選択肢の1つとして普及した3)。2004年からは,リツキシマブ,カルシニューリン阻害薬(calcineurin inhibitor:CNI),ミコフェノール酸モフェチル(mycophenolate mofetil:MMF)を併用し,脾臓摘出を回避する脱感作療法が開発・導入され,初期にABMR発症を抑止できれば移植腎が安定生着する「免疫学的順応」が達成される事実が示され,成績は血液型適合移植と遜色ないまでに改善した。2016年にリツキシマブが保険適用となって以降は,「標準治療」として定着し,生体腎移植の30%以上を占めるに至っている。しかし,いまだABMRや血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy:TMA)により危機的状況に陥る症例は皆無ではない。また,「免疫学的順応」成立と維持に関する詳細なメカニズムは解明されていない。本稿では,いくつかの残された課題を取り上げて,解決に向けた方策・対策について考えてみたい。

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