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特集 腎移植2023:最新の動向とトピックス
最新の動向
Banff分類からみた移植腎病理のあゆみと最新の話題
History and current topics of the pathology and Banff classification in kidney transplantation
久野 秀明
1
,
清水 章
1
KUNO Hideaki
1
,
SHIMIZU Akira
1
1日本医科大学解析人体病理学
キーワード:
Banff分類
,
ABMR
,
TCMR
,
PVN
,
B-HOTパネル
Keyword:
Banff分類
,
ABMR
,
TCMR
,
PVN
,
B-HOTパネル
pp.770-775
発行日 2023年12月25日
Published Date 2023/12/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001123
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はじめに
移植腎病理診断の国際的基準の作成のために,1991年カナダのBanffにおいて移植腎病理医により会議が行われ,1993年にKidney International誌に報告されたのがBanff分類のはじまりである1)。その後,2年ごとに会議は継続され,Banff分類は改訂を続けている。Banff分類は,移植腎の障害機序を病理から評価するために,病変を拒絶反応と拒絶反応に関連しないものに整理し,拒絶反応はその機序から,抗体関連型拒絶反応(antibody mediated rejection:ABMR)とT細胞性拒絶反応(T-cell mediated rejection:TCMR)に分類している。2019年の改訂では,抗体関連型拒絶反応内に慢性非活動性抗体関連型拒絶反応(chronic inactive antibody mediated rejection:chronic inactive ABMR)が制定され,T細胞性拒絶反応内の慢性活動性T細胞性拒絶反応(chronic active T-cell mediated rejection:CA TCMR)の診断基準が変更された2)。さらに,これまでの正常または非特異的変化,境界病変,抗体関連型拒絶反応,T細胞性拒絶反応の4つのカテゴリーに加え,ポリオーマウイルス腎症(polyomavirus nephropathy:PVN)が追加された。絶えず進化を続けるBanff分類は,2021年に30周年を迎えた。本稿では,これまでのBanff分類のあゆみを振り返るとともに,今後の課題・展望について考えてみたい。
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