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特集 腎疾患治療薬 フロントライン
各論
第2章 慢性腎臓病・透析合併症
59.下肢の筋痙攣:漢方薬など
muscle cramp of lower extremities:herbal medicine etc.
新田 孝作
1
Nitta Kosaku
1
1東京女子医科大学腎臓内科
キーワード:
血液透析
,
下肢筋痙攣
,
血液濾過透析
,
芍薬甘草湯
Keyword:
血液透析
,
下肢筋痙攣
,
血液濾過透析
,
芍薬甘草湯
pp.446-448
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002177
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1 はじめに
透析中における透析患者の苦痛としては,血圧低下による倦怠感やめまいなどの症状,瘙痒感,下肢硬直による筋痙攣などが挙げられ,これらは患者QOL(quality of life)を低下させる原因となっている1,2)。なかでも,透析治療に関連した下肢の筋痙攣は全患者の20%に認められている3)。実際には,筋痙攣が起きたと申告する患者は我慢できないほどの痛みの場合が多いと考えられ,患者のなかには軽い筋痙攣では透析スタッフに声をかけずに我慢している場合もあるため,その発症割合は20%よりも多いと推測される。透析中の筋痙攣は除水過剰や除水速度が速すぎることによって起きる筋肉内の血流低下が原因と考えられているが,いまだ正確なことはわかっていない4)。カルシウム濃度の急激な低下やL-カルニチン欠乏が透析中の筋痙攣の発症に関与しているとの報告もある4)。筋痙攣は,高齢の非糖尿病患者に多くみられ3),透析後半に血圧低下を伴って発症する場合が多いが,血圧低下を伴わない場合もある4)。痙攣の発症部位としては下肢が多く,下肢の末梢動脈閉塞性疾患を有する患者では虚血により,筋痙攣が透析中に誘発されやすい状態にある4)。

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