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特集 腎性貧血の最新動向―2025年版CKD患者における腎性貧血治療ガイドラインの要点と実践
トピックス
SGLT2阻害薬の貧血治療効果と低酸素系への関与
Therapeutic effects of SGLT2 inhibitors on anemia and involvement in the hypoxic system
今田 悠介
1
KONTA Yusuke
1
1東北大学病院腎臓・高血圧内科
キーワード:
SGLT2阻害薬
,
貧血
,
エリスロポエチン
,
HIF
,
tubuloglomerular feedback
Keyword:
SGLT2阻害薬
,
貧血
,
エリスロポエチン
,
HIF
,
tubuloglomerular feedback
pp.408-412
発行日 2025年9月25日
Published Date 2025/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002038
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はじめに
現在,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は全人口の5人に1人が罹患しているといわれており,世界的な健康問題の1つとなっている1)。CKDは進行すると,浮腫や電解質異常,貧血,尿毒症などの合併症を発症し,最終的に末期腎不全となり,血液透析や腹膜透析,腎移植といった腎代替療法が必要な状態に陥る。特にわが国では,9割以上の患者が血液透析を選択し,その医療費は1人当たり約300万~400万円/年と高額である。つまり,CKDの進行を遅延させることで,末期腎不全患者を減らし,医療費の削減につなげることが可能となる。CKDの進行を遅延させるには,適切な血圧および血糖,脂質のコントロール,貧血の是正,体液量の管理,禁煙や食事療法などが重要となる2)。そしてさらに,2018年のDAPA-CKD試験にてSGLT2阻害薬の腎保護効果が報告されてからは,尿蛋白陽性のCKDに対してSGLT2阻害薬が推奨されるようになり,使用が拡大した。今や腎保護薬として有名となったSGLT2阻害薬だが,最近になり,腎保護効果以外にも貧血改善効果ももつことが明らかになってきた。今回はSGLT2阻害薬の貧血改善効果に焦点を当て,エリスロポエチン(erythropoietin:EPO)や低酸素系との関連性を交えて概説する。

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