ダイアライザ―溶質除去性能と生体適合性

Hemodialyzer―solute removal performance and biocompatibility

はじめに

　わが国の透析療法が健康保険に収載された1968年当時，透析の治療条件やデバイス性能に，世界的に大きな違いはなかった。以来，多くの検討が進み，医学的な知識差のみならず，経済的背景や産業技術の差も相まって，治療に地域差が生まれた。現在，わが国では前希釈オンライン血液透析濾過（hemodiafiltration：HDF）が主流であるが，最近，治療効率に加えて，green nephrologyの観点から新しい提言もみられ^1），治療条件が再検討されつつある。狭義の「透析」に使用されている「人工腎臓」がダイアライザであり，本稿では主としてダイアライザについて，溶質除去性能と生体適合性の諸課題について，歴史的な側面も交えて俯瞰する。