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第22回日本高齢者腎不全研究会
高齢者腎不全患者における貧血管理を考える
Considering of anemia management in elderly patients with chronic kidney disease
倉賀野 隆裕
1
KURAGANO Takahiro
1
1兵庫医科大学循環器・腎透析内科学
キーワード:
高齢腎不全
,
貧血
,
加齢に伴う合併症
Keyword:
高齢腎不全
,
貧血
,
加齢に伴う合併症
pp.896-899
発行日 2024年12月25日
Published Date 2024/12/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001711
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はじめに
平成19年国民健康・栄養調査報告において,一般集団では,男性も女性も加齢に伴い貧血が進行することが報告されている。これら高齢患者に伴う貧血の原因は多岐にわたっており,それぞれの原因に応じた適切な治療が求められている。高齢慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者では,これら加齢の因子に腎性貧血の要因も加わり,活動性が低下している患者も増加するため,若年CKD患者と同じ目標Hb値を維持する必要性が議論されてきた。実際,3,341名のわが国の透析患者を対象とした検討では,75歳未満の患者ではHb値が10g/dL未満の場合において死亡のリスクが上昇していたのに対して,75歳以上の患者ではHb値が9~10g/dLの患者では死亡のリスクは上昇せず,Hb値が9g/dL未満となって死亡のリスクが上昇することが示されている1)。一方で,貧血治療は,生命予後の改善や心血管系合併症の発症・進展予防に加え,日常生活動作(ADL)・生活の質(QOL)の維持や改善も目的とする。高齢者の健康寿命の延伸が社会的課題となっている現在,ADL・QOLを考慮した高齢CKD患者における貧血の管理は,臨床的に意義があると考えられる。本稿では,高齢CKD患者における貧血の現状や,その管理方法について述べたい。
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