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1 はじめに
末期腎不全(end-stage renal disease:ESRD)患者に対する腎代替療法(renal replacement therapy:RRT)の開始時期についてはさまざまな因子の関与が想定されることから,成人,小児にかかわらず診療によりかなりの幅があると考えられる。1990年代には,成人症例において比較的高い糸球体濾過率(glomerular filtration rate:GFR)時の腎代替療法開始が,その合併症,死亡率,生活の質(quality of life:QOL)にもよい影響を与えるとの報告があり1,2),実際に米国では成人のESRD患者に対する透析導入時の推定GFR(estimated GFR:eGFR)が2010年に反転しているものの3) 1997年に比し2007年で2.7 mL/min/1.73 m2上昇していると報告されている4)。しかし一方で,観察研究の結果5,6)やシステマティックレビューやメタ解析の結果7,8)からRRTの早期導入が予後を改善しないという報告やさらには死亡リスクを上昇させるとの報告もある。また,2010年に発表された腎代替療法開始を早期群(eGFR 10~14 mL/min/1.73 m2)と晩期群(eGFR 5~7 mL/min/1.73 m2)の2群に分け,ランダム化比較試験を行ったthe Initiating Dialysis Early and Late(IDEAL)study6)において,早期導入群(eGFR 10~14 mL/min/1.73 m2)が晩期導入群(eGFR 5~7 mL/min/1.73 m2)に比して,生命予後の改善や臨床的予後に関連しなかったとも報告され,一定の見解が得られていない。
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