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特集 病理からせまる腎疾患の病因・病態解明
総論
腎生検病理診断:病型分類から病因診断・病態診断へ
Pathological diagnosis of renal biopsy:from morphological classification to pathogenic diagnosis
清水 章
1
SHIMIZU Akira
1
1日本医科大学解析人体病理学
キーワード:
腎生検病理診断
,
病型分類
,
病型診断
,
病因診断
,
病態診断
Keyword:
腎生検病理診断
,
病型分類
,
病型診断
,
病因診断
,
病態診断
pp.287-291
発行日 2024年9月25日
Published Date 2024/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001443
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はじめに
腎生検病理診断は,腎生検により腎臓局所で起こっている病変そのものを直接みて診断する。病変を病理学的に解析し,臨床情報と総合して腎疾患の病因や病態を把握,予後や治療効果を推定し,治療方針を決定する。腎生検により得られた腎組織を,光学顕微鏡(光顕)により観察し,病変そのものに対し形態学や病理学の観点で病型分類・診断を行うことから腎生検病理診断がはじまる。正確な病型分類・診断を行うことも重要であるが,蛍光抗体(immunofluorescence:IF)法や電子顕微鏡(電顕)による解析,臨床情報や免疫学および腎臓病学の知見をあわせ,総合的に評価し,腎臓で起こっている疾患の病因診断や病態評価を進めることが大切である。また,病理形態学からの診断の限界の克服や,腎疾患の病態解明のために,従来の技術や,分子生物学などの科学の発展が応用されている。たとえば,より詳細な立体構築も視野に入れた超微形態所見の取得や,病変内の蛋白質の網羅的解析を質量分析で行い,またmessenger ribonucleic acid(mRNA)の動態をトランスクリプトーム解析で行うなど,腎生検検体を用いたさらなる解析も進められている。本稿では,腎生検病理診断のなかで,病型分類・診断,および通常の病理解析で進める病因診断や病態診断について考えてみたい。
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