巻頭言
サプリメントについて
坪井 伸夫
1
1東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科
pp.701-702
発行日 2024年6月25日
Published Date 2024/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001342
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巻頭言の執筆を依頼されたころ,紅麹サプリメントによる健康被害が連日メディアで大きく報道されていた。お題を与えられたような気がして,このテーマについて書くことにした。紅麹サプリメントの摂取の関与が疑われた健康被害のほとんどが腎障害であり,なかには透析導入や死亡といった深刻なケースも報告されていることは,われわれ腎臓医にとっては特に衝撃的であった。麹菌の種類によっては,シトルリンなどの腎傷害性の毒素を産生することが知られている。このため,欧米諸国ではその取り扱いに慎重になっており,米国食品医薬品局も警告を発していた。最近問題になっている紅麹サプリメントに使用されている紅麹菌は,ゲノム解析によりシトルリンを生成できないことが証明され,人体への毒性はないとして市販に至った経緯があったという。
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