2．ABO血液型不適合腎移植における急性抗体関連型拒絶反応

Acute antibody mediated rejection in ABO incompatible kidney transplantation

1 病態生理

　ABO血液液型抗原は，正式にはABO式組織・血液型抗原とよぶのが正しい名称である。このABO抗原が赤血球の表面にあることは誰しも知っているが，その他，血管内皮細胞や，腎では遠位尿細管・集合管などの細胞表面にも存在する。従来からABO血液型不適合移植（以下，ABO不適合移植）を実施すると，レシピエントの血清中にある抗A抗B自然抗体が反応して超急性拒絶反応が発生するといわれ，この移植は禁忌とされてきた。不適合腎移植の拒絶反応は，ABO適合腎移植の拒絶反応にABO抗原とその抗体が関与した抗体関連型拒絶反応（antibody mediated rejection：AMR）が加味される。