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第32回腎と妊娠研究会 【教育講演2】
妊娠高血圧腎症における妊娠中および産後における腎障害の病態と尿中蛋白排泄機序
Pathogenesis and urinary protein excretion mechanisms of renal damage during pregnancy and postpartum in preeclampsia
渡辺 員支
1
WATANABE Kazushi
1
1愛知医科大学周産期母子医療センター
キーワード:
グリコカリックス
,
蛋白尿
,
尿細管
,
妊娠高血圧腎症
,
ポドサイト
,
慢性腎臓病
Keyword:
グリコカリックス
,
蛋白尿
,
尿細管
,
妊娠高血圧腎症
,
ポドサイト
,
慢性腎臓病
pp.679-684
発行日 2023年11月25日
Published Date 2023/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000964
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はじめに
妊娠高血圧腎症(preeclampsia:PE)では,妊娠中に尿中蛋白排泄を認めるようになり,急激に蛋白排泄量が増加し,母児の病状悪化から妊娠の終結を余儀なくされる場合も存在する。しかし,その多くは妊娠の終結とともに速やかに尿中蛋白排泄量が減少し,病状は改善する。また,PEにおける蛋白尿を含めた腎障害の病状は,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)と大変類似しており,将来CKDに移行するリスクも高いことが報告されている1~3)。CKD患者における腎障害の病態および尿中蛋白排泄メカニズムについては,腎糸球体内皮,内皮上層のグリコカリックス(glycocalyx),上皮ポドサイト(podocyte),および尿細管障害が存在していることが明らかにされている4~7)が,PEにおける尿中蛋白排泄と腎障害との関係についてはいまだ不明な点が多い。また,CKDと異なり妊娠終了後速やかに尿中蛋白排泄量は減少し,病状は改善する。このように,分娩前後で病状が大きく変化するPE妊婦の尿中蛋白排泄機序とその病態については明らかではない。本稿では,PE妊婦の妊娠中および産後における腎障害の病態と尿中蛋白排泄との関係について,特に,腎糸球体内皮上層のグリコカリックス,上皮ポドサイト,および尿細管障害に注目し概説する。
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