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増刊号 腎代替療法のすべて
【第3章 腎代替療法の現状と問題点,求められるケア】
3 腎臓病における緩和ケア(Palliative care in Nephrology) ②腎緩和ケアにおける腎機能の支持療法と食事療法
Supportive care and diet for renal function in renal palliative care
守山 敏樹
1,2
Moriyama Toshiki
1,2
1大阪大学キャンパスライフ健康支援・相談センター
2大阪大学大学院医学系研究科健康増進医学身体健康制御医学
キーワード:
CKM
,
個別化医療
,
たんぱく質制限
,
アシドーシス補正
,
カリウム代謝異常
Keyword:
CKM
,
個別化医療
,
たんぱく質制限
,
アシドーシス補正
,
カリウム代謝異常
pp.133-137
発行日 2022年6月15日
Published Date 2022/6/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000414
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はじめに
超高齢社会の到来を迎え老年人口の増加は今後も継続し,2025年には高齢化率は30%を超えると予想されている。平均寿命と日常生活に制限のない健康寿命との差(不健康期間)は男性で9年以上,女性で12年以上あり,その差は今も拡大傾向にある。健康寿命の延伸により個人における生活の質低下防止とともに社会保障負担の軽減も期待できる。腎不全診療においても,高齢化は顕著であり,末期腎不全に至った際の腎不全治療法選択にあたって,従来の血液透析,腹膜透析,腎移植という選択に加えて,透析非導入という,保存的腎臓療法(conservative kidney management:CKM)が注目されるようになった。本稿では,CKMにおいて,いかなる腎保護療法を実施するか,どのような食事療法を実践すべきかについて記す。具体的には,人生の最終段階に至った患者において,腎代替療法は選択しないで,それ以外の治療・ケアを勧める際の診療を対象としている。その内容としては,通常の保存期腎不全治療と大きく異なるところはなく,末期腎不全への進展,重症合併症阻止,QOLの維持・向上のための指針提示を目標としている。しかしながら,人生の最終段階に至った患者を対象とした臨床研究(特にQOLを指標としたもの)が限定的であるだけでなく,そもそも個々人の多様性がより大きいことから,個別化医療(personalized medicine)実践を重視した柔軟かつ細やかな対応が求められる。
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