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はじめに
高齢者に対する食道ESDは,安全性が高く,身体的負担の少ない表在型食道癌の治療法として広く受け入れられている1〜3)。しかし,本稿のテーマである85歳以上の超高齢者における治療成績に関するエビデンスは限られており,少数例の後ろ向き報告にとどまっている4)。超高齢者はより若年の患者と比較して併存疾患が多く身体的予備能にも乏しいことが多いため,外科手術や放射線療法,化学療法と比べて侵襲の少ない内視鏡治療は重要な治療選択肢の一つと考えられる。実際,早期食道癌に対する内視鏡治療と外科的切除を高齢者集団で比較した大規模解析では,内視鏡治療群のほうが周術期の有害事象発生率が低く,2年生存率も有意に良好であったと報告されており5),高齢患者における低侵襲治療の有用性を裏付けている。一方で,食道ESD後には穿孔,出血,狭窄,誤嚥性肺炎といった合併症が生じる可能性があり,これらが発症した場合,超高齢者では重篤な転帰をたどるリスクが高くなる。そのため,処置時には合併症を起こさないよう慎重な手技が求められ,万一合併症が発生した際にも迅速かつ丁寧な対応が必要である。Xiaらは食道ESD後の誤嚥性肺炎に関する後ろ向き解析を行い,リスク因子として女性〔オッズ比(OR)1.770,p=0.027〕,高齢(OR 1.729,p=0.044),低アルブミン血症(OR 2.115,p=0.003),併存する肺疾患(OR 1.206,p=0.594),筋層損傷(OR 1.507,p=0.136),長時間の処置時間(OR 6.853,p<0.001)をあげており6),超高齢者ではことさらに愛護的かつ迅速な処置が求められることが示唆されている。本稿では「超高齢者に対する食道ESDの実際」と題し,当院で経験した超高齢者の表在型食道癌に対するESD症例のなかから,患者背景・治療経過の異なる3症例を提示し,超高齢者に対するESDの意義と課題について検討する。

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