Japanese
English
今月の主題 食道ESD瘢痕近傍病変の診断と治療
序説
食道ESD瘢痕近傍病変の診断と治療
Introduction
小山 恒男
1
Tsuneo Oyama
1
1佐久医療センター内視鏡内科
キーワード:
食道表在癌
,
食道ESD
,
瘢痕部病変
,
拡大内視鏡
Keyword:
食道表在癌
,
食道ESD
,
瘢痕部病変
,
拡大内視鏡
pp.251
発行日 2023年3月25日
Published Date 2023/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403203131
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20世紀における食道癌の標準的治療法は開胸開腹食道亜全摘胃管再建術であり,外科医の努力にもかかわらず,大きな侵襲が避けられない治療法であった.一方,食道表在癌ではリンパ節転移の危険度が低いことから,1980年代後半に内視鏡的な粘膜切除術が開発された.そして,1993年2月に「胃と腸」28巻2号にて「内視鏡的食道粘膜切除術」が特集され,門馬ら1)が2チャンネル法を,幕内ら2)がEEMR-tube法を,井上ら3)がEMRT法とEMRC法に関して報告した.こうして,内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection ; EMR)は食道表在癌の治療法を一新し,第一選択手技としての地位を確立した.しかし,食道EMRでは正確な切除が困難で,大きさに制限があった.また,2cmを超えると分割切除を要し,病理診断のqualityが低下した.さらには,分割切除では局所再発率が高いという弱点があった.
そこで,2000年に筆者4)は食道に対する内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection ; ESD)を考案,発表した.食道ESDでは正確かつ大きな切除が可能で,質の高い病理診断も可能となった.当初は技術的なハードルがあったが,これを乗り越えてESDは広く普及し,2008年には保険収載された.そして,2009年3月には「胃と腸」44巻3号において「食道扁平上皮癌に対するESDの適応と実際」が特集され,ESDは食道表在癌治療の第一選択手技としての地位を確立した.
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