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はじめに
膵周囲液体貯留(peri-pancreatic fluid collection:PFC)は,急性膵炎,慢性膵炎,膵外傷,膵手術後などを原因として生じる膵臓周囲の液体貯留病変であり,その病態には膵仮性囊胞(pancreatic pseudocyst:PPC),急性壊死性貯留(acute necrotic collection:ANC),被包化壊死(walled-off necrosis:WON)などが含まれる。これらは急性膵炎の経過中に生じることが多く,特に重症膵炎においてはその頻度が高い。PFCは発症初期には被包化されておらず,不明瞭な液体貯留として出現し時間の経過とともに被包化された構造に変化していく。PFCは無症候性で経過観察が可能な場合もあるが,感染,消化管閉塞,疼痛や黄疸など症状を伴う場合には積極的な治療介入が必要となる1)。以前は経皮的あるいは外科的ドレナージが標準治療であったが,1992年にGrimmら2)がPPCに対してEUS-guided peri-pancreatic fluid collection drainage(EUS-PFD)を初めて報告して以降,低侵襲で安全性の高い治療法として普及が進んでいる3〜5)。EUS-PFDは単なるドレナージにとどまらず,壊死物除去(ネクロセクトミー)へのステップアップも可能であり,その中心を担うのがinterventional EUS用ステントである。これまでの技術的発展とともに,ステントの設計や素材,サイズも進化を遂げ,適応範囲の拡大と偶発症の予防にも寄与している。本稿では,PFCに用いるステントについて,プラスチックステントとlumen-apposing metal stent (LAMS)を中心に,その特性,使い分け,治療戦略,安全性について概説する。

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