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特集 症例から学ぶ胃ESD―改訂ガイドラインwith and beyond―
[各論 高難度症例を克服する]
高難度瘢痕症例への挑戦
Challenge yourself to perform ESD on gastric cancer with severe ulcer scar
石田 司
1
,
豊永 高史
2
,
松岡 晃生
1
,
ベンスレイマン ヤハヤ
1
Tsukasa Ishida
1
,
Takashi Toyonaga
2
,
Koki Matsuoka
1
,
Yahaya Bensuleiman
1
1愛仁会明石医療センター消化器内科
2神戸大学大学院医学研究科内科学講座消化器内科分野
キーワード:
胃ESD
,
線維化
,
瘢痕
Keyword:
胃ESD
,
線維化
,
瘢痕
pp.1270-1275
発行日 2022年7月25日
Published Date 2022/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000270
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はじめに
2018年1月に『胃癌治療ガイドライン 第5版』の改訂により,従来の治癒切除,適応拡大治癒切除,非治癒切除の表記が,内視鏡的根治度(eCura)の表現に変更された。ここでは詳細な解説は割愛するが,ULを伴う3cm以下の分化型優位粘膜内癌も,断端陰性で以前は適応拡大病変であったが,eCuraAに分類されるように改訂された。また,eCuraCは従来の非治癒切除に相当する概念であるが,分化型癌の一括切除の側方断端陽性,もしくは分割切除となった症例はeCuraC-1となり,追加外科手術のみではなく経過観察のうえ,局所再発症例に対しては再ESDも選択肢となることが記載されている1)。そのため,高度に線維化をきたした症例に対するESDのニーズは高まることが予想される。さらに胃角部小彎の潰瘍瘢痕上に発生した早期癌や異時性多発病変に対する複数回のESDは,近傍に高度な線維化を認める症例もあり,線維化症例に遭遇する機会は増えている。しかしながら,高度に線維化をきたした病変に対するESDは,筋層切除と標本へのダメージが常に隣り合わせとなっており,切離ラインの同定が困難であり,胃ESDの最難関症例といっても過言ではない。本稿では,具体的な症例を用いてその基本戦略を紹介する。
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