特集 消化管感染症のすべて
腸管感染症の治療 JAID/JSC感染症治療ガイド2019を中心に
大西 健児
1
1鈴鹿医療科学大学 看護学部看護学科
キーワード:
カンピロバクター感染症
,
サルモネラ感染症
,
ウイルス性疾患
,
寄生虫疾患
,
院内感染
,
抗細菌剤
,
細菌感染症
,
食中毒
,
腸炎
,
腸疾患
,
市中感染
,
診療ガイドライン
,
疾患届出
Keyword:
Anti-Bacterial Agents
,
Campylobacter Infections
,
Bacterial Infections
,
Foodborne Diseases
,
Virus Diseases
,
Cross Infection
,
Community-Acquired Infections
,
Disease Notification
,
Practice Guidelines as Topic
,
Intestinal Diseases
,
Parasitic Diseases
,
Enterocolitis
,
Salmonella Infections
pp.24-30
発行日 2019年10月20日
Published Date 2019/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020053991
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日本感染症学会と日本化学療法学会が合同で発行した「JAID/JSC感染症治療ガイド2019」の腸管感染症をもとに、本邦における腸管感染症の治療について概説する。腸管感染症は細菌とウイルスが主要な起因病原体で、感染者数ではそれぞれカンピロバクター(Campylobacter jejuni)とノロウイルスによるものが最多と推測されている。腸管感染症の多くは自然治癒傾向を示し、細菌性が推定される症例であってもempiric therapyとして抗菌薬投与の対象は限られ、普段健康な患者に発生した国内感染による軽症や中等症の腸管感染症では、細菌性であっても原則として抗菌薬投与の対象とはならない。また、サイトメガロウイルス以外のウイルス性腸管感染症に有効な抗ウイルス薬は実用化されていない。細菌性が考えられる症例でempiric therapyとして抗菌薬を投与する対象は、成人ではバイタルサインに異常がある患者、免疫不全が基礎にある患者、人工物植え込みの既往がある患者、その他に症状が重症あるいは患者背景から抗菌薬適応と判断した患者、小児では高熱・強い腹痛・血便など重篤な症状がある場合、乳児、慢性消化器疾患や免疫抑制状態にある場合、である。腸管感染症では患者の脱水状態を把握し、それに対応することが重要となる。
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