特集 周産期相談310 お母さんへの回答マニュアル 第3版
新生児・乳児編 泌尿生殖器 生後1ヵ月頃 陰茎が小さいようで心配です
寺脇 幹
1
1深谷赤十字病院 小児外科
キーワード:
陰茎疾患
Keyword:
Penile Diseases
pp.471-472
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.24479/J00621.2020088427
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<回答のポイント>1)陰茎の大きさには個人差が大きく、判断が困難な場合もある。一般的に陰茎が年齢に比して短く小さい場合には、矮小陰茎や埋没陰茎などが疑われる。2)陰茎の長さの測定は、陰茎を非勃起時に引き伸ばして十分に伸展させた状態で、陰茎根部の皮膚を十分圧迫して、恥骨結合から亀頭先端までの陰茎背面の伸展長を計測して行う。3)矮小陰茎は、解剖学的な形状は正常であるが、年齢別基準値の-2SD以下の陰茎をいう。原因として、内分泌異常を伴うことが最も多く、染色体異常、特発性もある。1歳までにホルモン治療を要する場合もあり、原疾患を特定する必要がある。4)埋没陰茎は、多くの場合恥骨部皮下脂肪が過剰のため陰茎が埋もれて見える状態(buried penis)で、肥満児によくみられ、基礎疾患がない限り経過観察でよい。一方、陰茎外板の不足と陰茎肉様膜、Buck筋膜と陰茎海綿体の接着異常、陰茎肉様膜の形成不全による伸展性の低下、陰茎支持靱帯の形成不全などによって陰茎が埋まりこんだ状態(concealed penis)を呈するのが狭義の埋没陰茎であり、これらの異常を是正する手術が必要である。なお、治療の適応には外観上の問題だけではなく、排尿障害を伴うかどうかもポイントとなる。
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