特集 加齢と造血
序 ~造血の老化と全身の老化~
北村俊雄
1
Toshio Kitamura
1
1東京大学医科学研究所 先端医療研究センター 細胞療法分野 教授/幹細胞治療センター 幹細胞シグナル制御分野 教授
pp.1559-1562
発行日 2018年10月30日
Published Date 2018/10/30
DOI https://doi.org/10.20837/52018111559
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加齢と造血に関して最近注目を集めているのは,一見健康に見える高齢者において白血病に認められる遺伝子変異を有するクローン性造血である。クローン性造血を有する人は造血器腫瘍を発症しやすいが,それよりも生命予後を悪くするのは,心筋梗塞,脳梗塞,癌である。このことは,クローン性造血が存在すると生活習慣病発症率が高まることを示唆している。今回の特集では,幹細胞老化やクローン性造血に加えて,高齢者の貧血,骨髄異形成症候群(MDS),急性骨髄性白血病(AML),急性リンパ性白血病(ALL),多発性骨髄腫,骨髄移植について,最近の知見を交えてそれぞれの分野の専門家にまとめていただいた。種々の造血器腫瘍の成り立ちにクローン性造血が関与することがあることも含めて紹介されている。