Topics「身近な話題・世界の話題」(163)
新規リキッドバイオプシーとしての血小板内核酸情報による癌スクリーニング
金蔵孝介
1
,
上田亜衣
2
,
黒田雅彦
3
Kohsuke Kanekura
1
,
Ai Ueda
2
,
Masahiko Kuroda
3
1東京医科大学 分子病理学分野
2東京医科大学 乳腺科学分野
3東京医科大学 分子病理学分野 主任教授
pp.602-606
発行日 2018年3月30日
Published Date 2018/3/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201804602
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血小板は無核の細胞であり,核酸情報を有しないと思われがちだが,実際はmiRNAやmRNAを含む多様な遺伝情報を大量に含有していることが,近年の研究からわかってきた。近年,次世代シーケンサー(NGS)による網羅的核酸解析が比較的容易となり,血小板中に含まれる核酸情報を調べることが可能になった。Bestらは,腫瘍細胞が血小板と接触し核酸情報を交換することにより血小板を“教育”しているとの仮説から,担癌患者と健常者の血小板内核酸解析を行い,高確率で癌検出が可能であることを示した。本稿では血小板内核酸の癌マーカーとしての有用性および将来性について紹介するとともに,問題点について検討したい。